モロッコ旅行記Season1 <8日目>「カサブランカ」

モロッコ旅行記Season1 <8日目>「カサブランカ」


モロッコの旅8 「カサブランカ」 ~涙腺崩壊~


カサブランカ/ムハンマド5世空港




今日でモロッコともお別れだ。



もうすぐアハメッドが迎えにくる。

なんとなく、どんな顔していいかわからないまま、ぱぱっと朝食を済ませ、ロビーで待つ。





↑ラスト朝食。なかなか喉を通らない。



↑ホテルロビー。準備は万端。



しばらくすると慣れ親しんだイエローワゴンが来た。



「グッドモーニング!」いつものようににこやかに挨拶。

カーペットのお金を借りていたので返す。

お金を一枚一枚「ワヘーッド、ジュルージュ、ザラーザ~」と覚えたアラビア語で数えて返した。



「今日で最後だねー、I miss you~」というような事をアハメッドが言う。

「Me too! Me too!」と笑って答えるがまともに目が見れない。。



そして出発。

マラケシュから空港のあるカサブランカまでは3時間くらいかかる。

何か話題話題~と考えるが、喋ると泣いてしまいそうで黙り込む。



アハメッドがラジオをつけたけど、つまらなそうなチャンネルばかりだったので、

私は「CD!」と言ってCDをかけようとしたら、

オーディオのコントロールパネルがぼろっととれてしまった。



「Broken?」と心配そうに覗き込んだら、

アハメッドが「No problem!」と言って直すついでに、

「そうそう」みたいな感じで私に袋を渡した。



開けてみると中にモロッコ名産のアルガンオイルと石鹸のコスメセットと

小さなボトルに入ったサハラの砂が入っていた。



「present!」とアハメッドが言った。



「Thank you…」と言った私の目がみるみるかすんで、目から大粒の涙が落ちた。



アハメッドがびっくりして「Why? Don't cry!! I want to enjoy!」と言ったので、

「Sorry」と一生懸命笑おうとしたけど「うわーん!」と子供みたいに泣いてしまった。

ちなみに私は今年4●歳になる…。情けない。。



何度も何度も頑張ったけど、涙は止める事ができなくて、しばらく泣き続けた。

アハメッド、困っただろうな…。



1時間くらいしたら少し落ち着いて来て、アハメッドは町の説明を始めたりした。

外はきれいな緑の畑が広がっている。

レンズ豆の畑だと言う。



空港までの道は2パターンあって、

おそらく1つはハイウェイで早く到着できる道だったのだと思うが、

こっちのきれいな道を選んだという。



「あなたこういうの好きでしょう?」と。

完全に読まれている。。。



しばらく無言で進む。

気のせいかアハメッドも時々目のあたりを指でぬぐっていて泣いているような気がした。

泣いているのを見てしまったら、私も制御不能になるので、確認はしていない。



飛行機が低く飛んでいるが見えてきた。

空港が近いのだろう。

「あの向こうはもうエアポートだよ」と、

木が立ち並ぶ向こう側を指差してアハメッドが言った。



「11時に全プログラム終了予定。この調子だとジャストタイムだ。」と言った。



空港ターミナルが見えてきた。

いよいよお別れだ。



車を降りて荷物を下ろしてくれる。

「Wao! Heavy!」と重そう。

「忘れ物はないかな?まぁ、あったら僕が日本まで届けるよ!」と笑う。

「待ってる。」と、私も小さく笑う。



ターミナルに入り、チェックインの手続きをしてくれる。

カウンターの列に並ぶが、スタッフの仕事が遅くてなかなか進まない。

この間が辛い。早くして欲しい。



ようやく手続きも済ませ、残ったDHも円に両替しなおし、

メールアドレスを交換し、

チップも渡して「Thank you so much」と握手をした。



アハメッドが最後に「Good?」と聞いてきた。

私は「Good!」と答えた。

「メズィヤーン?」ともう一度聞いて来たので「メズィヤーン!」と答えた。

じゃぁ、と言ったとたんまた「うわーん」と泣き出してしまった。



アハメッドが心配そうに見ていたので、首を左右に振ってぱんぱんと頬を両手で叩き、

「OK」と無理矢理笑って、「バイバーイ!」とゲートをくぐった。



ゲートの中にいた空港のスタッフに「なんで泣いてるのー?」と心配された。

恥ずかしい。



帰国してからふと目にしたネットの記事に、モロッコ人の気質は、

「家族や仲間を大事にし、面倒見が良い」とあった。



アハメッドが私にカーペットを熱心にすすめたり、

親切にしてくれたのは、彼自身の利益のためなんじゃないかとか考えた時もあったが、

彼の中では、決して裕福ではないモロッコの仲間達が少しでも利益が得られるように、

そして観光客の私には本当に買って損はないものをすすめていたのかもしれない。



名所の説明などをする時、英語があまりわからない私は、

適当に相づちを打っていたりしたのだが、

私はわからなければわからないでそれでもいいやーって思っていたのだけど、

アハメッドはそんな私を見て「Understand?」と聞き、

私が「No」と言うと、面倒な顔一つせずにiPadでわからない単語を調べてくれたり、

Wikipediaの日本語の説明文をわざわざ検索して私に見せてくれたりした。



適当なガイドだったら、私が適当に流していれば適当に済ませていただろう。



「家族や仲間を大事にし、面倒見が良い」という一言で、

今までモヤモヤしていた事が、いろいろつじつまが合うように思った。



そしてそんな彼の温かさに、無意識のうちに感銘を受けていたのかもしれない。

そんな彼と見てきた 雄大な景色、澄んだ空気、はたまた今まで触れた事のない文化や習慣、

様々なものは私に多大な影響を与えた。



出発までは高いお金払ってそんな所まで一人で行く事を

もったいないかな?と思う部分もなくはなかった。



でもアハメッドがいてくれたから、私は安心して快適な楽しい旅を送れたと思う。



モロッコ、行ってよかった。



Thank you! mercy! シュクラン!ありがとう!!



一生に一度の旅はこうして ”ALL FINISH” となった。