モロッコ風景


モロッコ旅行記Season1 <3日目>「フェズ」

モロッコ旅行記Season1 <3日目>「フェズ」


モロッコの旅3 「フェズ」 ~ハマム(公衆浴場)で人生観が変わる~


フェズ/ブー・ジュルード門




朝、シャウエンから再びフェズへ4時間ほどの道を戻る。

途中、道路で犬がひかれて死んでいた。

一旦通り過ぎたが、アハメッドはUターンし、犬からちょっと離れた所まで戻った。

イケメンオーマが車を降りて、その犬を道路の脇まで引っぱって除けた。



「親切な人達だなー」と思った。



オーマはその時に蜂に刺されてしまったようで、指をつまんで「痛い。」と言っていた。

アハメッドがアルコールをスプレーしてあげていた。

オーマは21歳らしい。(若っ!)

アハメッドは私より4つ上だった。



車内のBGMは昨日まではアラビックやアフリカン、

または何故かカンナム・スタイル(^ ^;)などがループしていたが、

飽きたので今日はポピュラーなミュージック。

マイケルジャクソンやホイットニーヒューストンなどで、

アハメッドは「マイジェネレーション!」とノリノリだった。

アハメッドはよくジョークを言ったり、

「アイム、クレイジードライバー!」などとふざけたりしているが、

意外と常識的な人、育ちはちゃんとしていそうな気がする。





↑ロバがのんびり草を食む光景はなごむ。



フェズに到着、今まできれいな所ばかり見てきたけど、

フェズではこの国のリアルを垣間見た気がした。

フェズはモロッコの中では第三の都市でもあり、古い街。

日本で言う京都みたいな所らしい。

(以前、京都と姉妹都市だったこともあるそうだ)



ここではアハメッドが「あなたのために日本語が話せるガイドを見つけたよ!」と、

どうやら少しでも私が街を楽しめるようにガイドネットワーク(?)を駆使して、

日本語が話せるフェズ専門のガイドを探してくれたようだった。

(モロッコで日本語が話せるガイドは少ない)

アハメッド、なかなかデキるガイドのようだ。



フェズのローカルガイドはモハメッドさん。

確かに日本語は話せるが、パソコンの翻訳で訳したような日本語。(^ ^;)

でも、大体の事は理解できるので、とても助かる。





↑フェズのスーク(市場)。
生きたニワトリやうさぎなんかも売られている。



フェズは巨大な迷路のようなメディナの街。

細い路地がごちゃごちゃと続いていて、ちょっと歩いただけで方向も何もかもわからなくなる。

たまに物乞いが座りこんでいたりで、暗い路地などは一人で歩くのは結構怖い。

そんな路地を入った所に今日のランチのお店がある。

入り口からは想像もつかないくらい、中は広々とした空間が広がっている。

10メートル位の高さの天井の大広間のような場所に、テーブルをセッティングしてもらい、

そこでぽちーんと一人、食事をとる。





↑この広い場所で一人食事。
奥の方に座って喋っているのはフェズ専門ガイドのモハメッド。



西洋人の団体が、個室のような所にぞろぞろ入って行ったり、

スタッフが忙しそうに行き来するのを眺めながら、サラダやタジンなどを食べた。


フェズは職人の街でもあり、

タンネリと呼ばれるなめし革職人街や、銀細工の店、絨毯屋、陶器の工房などを周り、

どの店の人にも「別に買わなくてもいいんですよ!」って言われはしたのだけど、

なんとなく革のバブーシュとお皿を買ってしまった。





↑タンネリと呼ばれる場所。
革を鳩のフンの入った槽で洗う。結構臭い。



バブーシュ200DH(ディラハム)300DH (約2000円と3000円)。

モノは良いのかもしれないが、ちょっと高かったなと、

後々買い物していくうちに思った。





↑陶器の工房。タジン鍋を作っているのかな?



夕方、宿泊先に向かう。

今夜の宿はリヤドという古い邸宅を改装した趣のある宿だ。

アハメッドは「日が落ちたら絶対外に出ないでね!」と言う。

モロッコ第二の都市、マラケシュは仕事もあるしポリスもいっぱいいるので、

夜でも歩いていいけど、フェズは失業者も多く、ポリスもあまりいないので、

夜は危険らしい。





↑天がい付きのベッド!!





↑今回唯一のバスタブ付き!結局お湯は張らなかったけど。



アハメッド達はそれぞれの宿泊先に行ってしまったが、

私は本日のプログラムでこの後ハマムに行く事になっていた。

ハマムとは公衆浴場のことである。



フェズの街はなんとなく怖いし、疲れてめんどくさいなぁとも思ったので、

リヤドのスタッフがにこにこして「今日ハマムに行くんでしょ?」と聞いてきたけど、

「う~ん、行かないかも。」と言ったら「なんで?!気持ちいいよ!」と言い、

また後で来るからと、部屋を出て行った。

「行かないとダメかなぁ?」と部屋で考えていたら、

さっきのスタッフともう一人女性スタッフが迎えに来た。

ここで行かないのも申し訳ないかな?と思ったので、ハマムに行ってみることにした。



女性は英語が話せないのか、無言でスタスタ歩いて行く。

早足でついて行くのが大変だ。

「はぐれたら迷子になってしまう!」と必死でついて行った。



いくつもの細い角を曲がり6、7分歩いてハマムに到着。

ドアを開けるといきなり脱衣所で半裸の女性がうろついている。

貴重品など入れるロッカーもなく、

みんなの着替えなどが置いてある場所にバッグを置けと言われたけど、

心配だったので「持って入る!」と言ったら、

受付のおばちゃんみたいな人の所にバッグを持って行かれた。

かなり不安だが仕方ない。



別の上半身裸のおばちゃんが出て来て、服を脱げというので、

パンツ一丁になって浴室に入る。

地元のおねえさんやお母さんで中は賑わっていた。

みんなグラマラスな方々ばかりで、私はひとりちっこい東洋人。

かなり目立ってみんなこっちを見ていた。



おばちゃんが小さなマットを指差し、ここに座れという仕草をしたので、とりあえず座る。

ちょっと待てという仕草をしたので、体育座りでぽちーんと5分くらいひとり座り、

周りの様子を伺っていた。



大きなお湯が溜まっている所から、おばちゃんがバケツにお湯を汲んできて、

私のまわりに並べていく。

いくつか部屋があって、温度の違うお湯があるようだ。

それらを調合して丁度良い塩梅にお湯加減を調整していく。



準備ができたところで、サボンノワールという黒い石けんを体に塗られ、

アカスリしていく。



しばらくすると、おばちゃんが自分の太ももを指差し、ここに寝ろという。

「えぇー」と思いつつも、嫌だとも言えないので従う。

自分の母親くらいの人の膝枕状態で、ゴシゴシされる。

顔もおかまいなくゴスゴス。痛い。



それが終わると、床に直でうつ伏せで寝ろと言われた。

日本の銭湯だって床に寝るなんて汚いって思ってできないのに、

でもやはり嫌だとは言えないので従う。次は仰向けで寝そべる。

ここまでくると「あー、もうどうでもいいやー」って気持ちになる。

それに加えて日本でのつまらない事で神経すり減らしている事がばかばかしく思えてくる。

よくインドに行くと人生観変わるとか言うけど、こういうことかもしれないと思った。



最後に「シャンプ」とおばちゃんが言ったので、自分で持ってきたシャンプーを渡す。

泡立てたら、くしで思いっきりとかされる。

痛いしめっちゃ傷むよ!それ!

そしてリンスした後、頭から何度もお湯をぶっかけられる。



合間にちらっと周りの女の人を見たら「あーあ、やられてるよー」みたいな感じで、

にこにこしながらこっちを見ていた。

全部終了して浴室を出るときに「バイバイ」と小さく手を振ってくれた。



体に触ってみると、肌がつるつるになっていた。やるな!おばちゃん!



着替えてリヤドに戻ろうとしたら、出るときあたふたしていたので、

替えのパンツを忘れてしまったのに気がついた。

もともと履いていたのは、すでにびちょびちょなので履けず、

仕方ないので、そのままズボンを履いて帰った。



おばちゃん達がじーっと見てたけど、

私が帰った後「あの子パンツはかないで帰ったわよ」と、

言っていたに違いない…。