モロッコ旅行で価値観がひっくり返る
2013年に初めて旅行でモロッコを訪れたのですが、
その時は純粋に旅行で行っただけで、
その後こんなにどっぷりモロッコに携わる事になるとは
思ってもいませんでした。
それだけモロッコという国のインパクトは強かったのです。
また、モロッコに行く前と帰国後では、物の見方が変わりました。
まず、細かい事に気をとられるのがバカバカしくなりました。
そして自分の感情に素直に向き合う事。
旅に出る以前よりも鮮明に自分の気持ちの動きを
感じられるようになった気がします。
時に怒りや悲しみなどネガティブな感情にとらわれる事もありますが、
でもそれも「人間だからしょうがない」と
受け止められるようになったと言うか・・。
変に抑える事はなくなりました。
日本とは全く異なる生き方をしているモロッコの人々。
私が印象に残っているエピソードをご紹介します。
●ヘナタトゥー逃走劇
2013年、最初にモロッコに行った時の事です。
マラケシュのジャマ・エル・フナ広場では、
ヘナタトゥーをやってくれる女性がたくさん露店を出していますが、
私もチャレンジしてみる事にしました。
ガイドブックには30DH(ディルハム)からやってくれるとあり
(2013年当時の話なので、今はもう少し上がっているかもしれません)、
またぼったくられるという話もあったので、
私は紙に「30DH」と書いて価格交渉をしました。
相手は若い女性でしたがすんなり「OK」と言うので、
「おぉ、OKか」と少し驚きつつもすぐにOKしてくれたのでほっとしました。
(30DHは最安値くらいだったので、この価格じゃ無理かなとも思っていました)
手の甲から指にかけてくらいの範囲をやってもらい、
いざ支払いの段階になるとその女性は「300DHよこせ」と言いました。
「は?30DHでいいって言ったよね?」と、
私は先ほどの紙を見せて「30DH!」と言うと相手は「NO! 300DH!」と、
30DHのDをゼロだと言います。
「なんじゃその言い掛かりは!
っていうかDが0だったら300Hでおかしいじゃん!」
私も負けずに「NO! 30DH!」と言い張ります。
私は普段はあまり感情丸出しで
怒るタイプではありませんが(むっとする事はあるけど)、
この時は頭にきてかなりワーワー言った気がします。
(日本ではここまで無茶苦茶な場面に遭遇する事もないって言うのもありますが)
どっちも「NO!」と言って膠着状態になっていた時に、
相手の女性が通りがかった人を見て「はっ!」とした顔をしました。
そして私と通り過ぎた人を交互に見た後「1ミニッツ待って」と言い残して、
通り過ぎた人の後を追っていき、その場を離れました。
私はすかさず「チャンス!」と思い、
その女性の隣に座っていた仲間のおばちゃんに
「メルシー!」と言って30DHを渡して、走ってその場から逃げました。
日本ではそんな事したことありません。
すごいドキドキしましたが、こんな事をした自分が意外で、
でもなんだか感情を吐き出す事が爽快だったんです。
自分でも知らなかった自分の一面を見たのと、
その爽快感は忘れません。
●路上の物乞い
発展途上国に行くのは初めてでした。
いろんな人がいるのだろうなと思ってましたが、
路上で物乞いの人を何人か見ました。
日本でも格差社会とか言われますが、
物乞いって昭和の頃は少しいた気がしますが、
ここ最近では見る事はありません。
路上に座って喜捨を求める姿を見ていると、
いろいろと感じるものはありました。
●壊れたタクシー
ケラア・ムグナという町に行った時の事、
タクシーに乗っていたのですが、モロッコのタクシーは乗り合いで、
行き先が同じであればお客さんが乗っていても人を乗せます。
私の乗っていたタクシーに人が乗ってきた後、
ドアを閉めようとしましたが、ちゃんと閉まらず、
ドライバーが降りてきてドアを閉めようとしましたが、
やはり閉まらず、仕方なく半開き状態で出発しました。
「日本じゃありえんなー」と思いながら、
この程度の事は気にしない事に日本との違いを感じました。
●積載量オーバーぎみのトラック
田舎の方の道路を走っていると、
高さ3メートルくらいの嵩の干し草などを
積んでいるトラックを見かけたりします。
最大積載量とかないのかな?と思いながら見ていますが、
その迫力はすごいです。
その分、事故とかもあるのかもしれませんが・・。
先ほどの壊れたタクシーもそうですが、
昭和生まれの人間としては、
子供の頃おじいちゃんの軽トラの荷台に子供達何人か乗って、
近場を走ったり、そういうの今は危ないから禁止になっているけど、
楽しかったなって記憶が蘇るのかもしれません。
安全性は大事だけど、
日本はスリルとか刺激はなくなった気がします。
日本ではもうこういう事はできないけど、モロッコではまだゆるく、
こういった経験が感情を揺さぶって心の栄養になる気がします。
●ただぼーっと座っている人
モロッコの田舎でよく見ますが、
路上で何もせずただぼーっとしている人がいます。
日本人は少しの時間でもスマホ見たりして
ぼーっとする時間を埋めようとしている人ばかりなので、
こういう人は逆に新鮮です。
また、何もしない事が怠け者的で悪い事のように言われがちですが、
ぼーっとして生きるのもありなんだなと思わせてくれます。
●いつも揉めている人がいる
これもモロッコに行くたびに目につくのですが、
一回は必ず揉めている人を見ます。
日本で口論している人を見かけたらちょっと怖いって思っちゃうのですが、
モロッコだと何て言ってるかわからないというのもありますが、
「わーなんか揉めてんなー」くらいで見ています。
そしてお決まりなのは、揉めている人同士の周りに、
「まぁまぁ」と揉め事の仲裁に入っている人が5人くらいいます。
どの揉め事も同じような感じなので、
「これはダチョウ倶楽部のコントか?」と思ってしまいます。
(もしかしたら深刻な揉め事の可能性もありますが・・)
でもそうやって感情を露わにして言いたい事は言い、
周りも見て見ぬ振りをするのではなく、お節介に介入する。
日本では薄れてしまった人間臭さみたいなものを感じるのです。
以上、他にもまだあるかもしれませんが、
私がモロッコに行って感じた事です。
一概にモロッコが良いとは言えない部分もあると思います。
モロッコに行って日本の良さに気がつく事もあるので。
でもこの部分はモロッコ的な考えを取り入れ、
この部分は日本的な考えを取り入れるという感じで、
バランスをとるようになりました。
少なくとも視野は広がったかなと思います。